今回の大統領選は、オバマ革命「継続か」「阻止か」の選択選挙である【1】


昨日記した「1週間後の大統領選挙はアメリカ、世界にとって『もっとも希望に満ちた』民主選挙である」論に対して、以下のようなコメントがよせられた(拙論が転載された作家の田中真知さんのFB上)。

・最大の民主主義というか、ほとんど革命のようなもの、あるいは叛乱と呼ぶべきものなんですね。「アメリカの春」かもしれない。たいていの場合、春の後に来るのは嵐ですが。

・「アメリカの春」、そんなかんじなのでしょうね。アラブと同じく、そのあとは嵐の季節、あるいは「アメリカの冬」がやってくるのでしょうか。アラブ以上にたいへんそうですが。。(;´Θ`)

・911以上のショックかもしれません。

・9.11でアメリカやヨーロッパの多文化主義が揺らぎ、今回の選挙がその完全な終焉になる、ということなのかな。。

・アメリカが分断されて騒乱の嵐になるかも。

・『Hillbilly Elegy』という本の一節。彼らは、「トランプのおかげで、初めて政治に興味をいだいた」という人たちだ。「これまで自分たちだけが損をしているような気がしていたし、アメリカ社会にもやもやした不満をいだいてきたけれど、それをうまく言葉にできなかった」という感覚を共有している(以下略)


一連のコメントに対する、筆者の見解を記します(文字数の関係で、FBコメントに入らなかったため、田中真知さんへメールした文章をコラムに再掲)。

トランプが勝つと、 「アメリカ革命」? 「アメリカの春」? そのあと 「アメリカの嵐、そして分断」? 「世界で多元文化主義が終焉」? 

みんな気づいてないんですけど、革命はとっくの前に起きています! 8年前に。言うまでもなく、オバマ革命です。

そのあとの嵐と分断の激しさを象徴的に表出しているのが、今回の大統領選挙です。

アメリカの土着文化を守りたい人々がたちあがっている。「過激なオバマ革命信奉者」 vs 「身の丈にあった生き方をしたい人々」の戦いです。

オバマ革命とは、アメリカ納税者差別的な世界公平主義革命です。正義と公正の名のもと、アメリカ人より外人(不法移民)、アメリカ人のなかでも納税者より税金を払っていない層が多いヒスパニックと黒人、アメリカ国内実業家よりグローバル企業、アメリカの雇用より自然環境保護、アメリカより外国を優遇する革命です。

優遇される対象は当然、オバマ支持者(購入者)です。投票または献金と利益供与の交換が民主主義ビジネスの原則です。その意味で、これまで1000億円以上献金を集めたオバマは民主主義ビジネスの成功者といえます。舛添元都知事のようなチンケな私的流用レベルではありません。

優遇(利益供与)される対象は、具体的に、オバマへの投票率の高い民主党州、低所得投票者層、献金企業、外国政府(系団体)です。プラス、公平実現に向けて仕事が増える公務員労働者組合と、社会の公平を信じるゆとりのある一部のアッパークラス(メディア含む、マスコミ献金の100%近くがオバマ・クリントン献金。見返りに広告料と政府高官)です。

利益供与のすさまじさがオバマ革命です。わずか8年で、生活保護(SNAP)受給者数は5000万人を突破し、公務員数は50万人純増すると同時に、有力献金者から選んだ物見遊山のセレブ大使が激増している。

そうしてアメリカの借金は2倍に膨れ上がる一方、利益供与の肩代わりをしているミドル、アッパーミドル層以上の地方の個人事業主や中小企業経営者、農家層で、その象徴的な悪策がオバマケアです。

その負担料は倍増(保険料の名を借りた大増税)し、生活・事業継続が成り立たなくなっている(一方で、オバマ献金グローバル企業は優遇され株価は高騰し、公務員給与は上昇してているのが現実です)。

コメントで引用された「これまで自分たちだけが損をしているよう気がしていた・・・」という情緒的で典型的なトランプ支持層描写がありましたが、事実なのです。

先のでは、読者の感情を揺さぶると同時に、「ポリティカルコレクトネス」を尊重するだろう読者の直接的な反論をあらかじめ封じるために、生まれてはじめて投票する層を美化して、「アメリカ史上、もっとも希望に満ち溢れた民主選挙」と書きましたが、深層はもっと深いところにあります。

表面的にはクリントンvsトランプの戦いにみえていますが、本質は「オバマ革命の継続・拡大(クリントン)を選ぶか?」「オバマ革命を阻止するか(トランプ)?」の選択選挙なわけです。

生まれてはじめて投票する層の多くは、トランプに感情を揺さぶれた無学な層ではなく、あるポリシーをもっています。

それはアメリカの土着文化である保守・自由主義(俺のメシは俺がかせぎ、俺の家族は俺が守り、子供は俺が教育し、近くで困っていた人がいたら俺が守る・・・)です。独立自尊のアメリカ人です。

(ちなみに、黒人・ヒスパニック・アジア・ムスリム系のトランプ支持者はこの新興独立自尊系とその予備軍です。俺たちを憐れんだふりをして、なにかを恵んでくれるのをもうやめてくれ、と。お前たちがしているのは、俺たちをダシにしているだけだ、と)。

オバマ革命が推し進める社会民主主義・多元文化主義(自分のメシは自分で稼がず、困った人にメシを国が配分し、アメリカ人から収奪した金で外国人を守り・・・をみんなで選挙で決める・・・)など、忌み嫌っているわけです。

もっとわかりやすくいえば、彼らにとってそんな民主主義が気持ち悪いのです。だから、その制度に参加しないのは生き方、価値観として、当然です。投票しないで、多少損しても、文句は言わない。メシが自分で稼げないやつらのママゴト、寝言として放っておいたわけです。ほおっておけば、自分たちのことも放ってくれると思っていた。

彼からしてみれば、価値観に近いとはいえ、共和党も似たり寄ったりのママゴトをしているようにみえる。だから男(女)らしく共和党にも投票しないし、なによりもあらゆる党派に属したくない、独立孤高の人たちなわけです。

しかし、オバマ革命はそんな彼らの土着文化に土足で入ってきた。その象徴が、コモンコア(連邦政府による教育カリキュラム)の強制であり、農場の経営介入、地方労働文化の象徴である炭鉱の相次ぐ強制閉鎖など・・・です。

(続く)