米国史のなかのトランプ政権 ⑦もっとも人類の記憶に残る大統領


⑦もっとも人類の記憶に残る大統領

⑦もっとも人類の記憶に残る大統領

これまで比較してきたリンカーン、ケネディ、レーガンとトランプとの最大の共通点はなにか。全員、立候補時は「泡沫候補扱い」のアウトサイダーだったことだ。属する政党主流派からさえも公認を得られなかった。そこで、メディアを最大限活用し、国民に直接語りかけてきた。

たとえば、リンカーンは選挙戦で当時、最大のメディアだった新聞をたくみに利用した。その手法は各紙にこまめに私信を送ることだった。大統領候補から独占情報を得たと喜ぶ新聞社は、リンカーンの主張を大々的にとりあげた。今度は、ライバル紙に別の私信を送る。そうすれば、新聞同士の競争上、取り上げざるをえない。都市部の大手紙だけでなく、全米の地方紙にも同様の手法をつかった。リンカーンは新聞の論調や読者層を分析しながら、自分の政策や主張がアメリカの隅々までとどく戦略を実行していった。その結果、メディア(新聞)の予想を覆し、大統領選に当選した。完全に新聞の上手をいっていたのだ。(参考文献:Harold Holzer『Lincoln and the Power of the Press: The War for Public Opinion』未邦訳)

ケネディは選挙期間中、劣勢にささされながらも、最後の討論会で支持率を逆転した。史上初のテレビ中継された討論会で、視聴者に直接語りかけたからだ。レーガンの場合、ラジオ・パーソナリティ仕込みの語り口が国民の心に響いたことはよく知られている。

彼らの時代になくしてトランプにあるのは、ツイッターなどSNSである。トランプはメディアに迎合せず、味方にせずして、大統領と国民、そして世界と日々つながる時代の寵児である。後世の歴史家がどう評価するかは別として、アメリカ国民、そして歴史上、もっとも多くの人類の記憶に残る大統領といえば、トランプのほかいない。目指すアメリカ統一どころではない。その偉業を彼は、大統領就任前に達成してしまっている。

トランプ政権はリンカーン型か、アイゼンハワー型か。それともケネディ型か、レーガン型か。いえることは、実績を残してきたビジネス界・軍界・実務者がアメリカの政界をリードする時代がきたことだ。

政治家が権謀術数におぼれ、国民の信頼を失う中、生産性の高い人々が力を発揮する本来のアメリカらしい政権であることはまちがいない。