米国史のなかのトランプ政権 ②「歴史上最悪」のオバマ政権


②「歴史上最悪」のオバマ政権

トランプは就任後、共和党や民主党といったイデオロギー対立を超えて、アメリカ人の統合を目指していく。そのために必要なのはなにか。トランプ曰く、「オバマの(言葉上の)『チェンジ』(オバマの2008年選挙スローガン)ではない。われわれは『‟リアル”なチェンジ』を届ける」(11月7日、投票前の最後の選挙演説)ことである。

その実現に向けた最大にして唯一の手段が政権目標「雇用! 雇用! 雇用!」(トランプ)である。人々が働き口をもち、豊かになることによってのみ、人種や思想、階層、政党によるアメリカの分断は解消できるとする。これがビジネス的為政者であるトランプの実践的な世界観である。

だからこそ、冒頭に掲げた「神が創造したなかで最多雇用を創出する大統領になる」を出馬時から一貫して、公約しているのだ。

リンカーン政権が「敵同士が集うチーム」、オバマ政権が「‟言葉上の”チェンジのチーム」だとすれば、トランプ政権は最多雇用を生み出す「リアル・チェンジ」チームである。そのチーム・リーダーが「リアル・ドナルド・トランプ」(トランプのツイッターアカウント名「@realDonaldTrump」)なのだ。

そこで、トランプが政権に集結させたのが、実際の雇用を生み出してきた「ビジネスの成功者」やビジネスを阻害する思想や規制と戦ってきた「実務家」、ビジネスの基盤である国家の安全・安定のために貢献した「軍人」である。みな〝リアル‴な実績のある人たちなのだ。

といっても、最多雇用の現実性はあるのか。

歴代政権と比較しながら、その背景と中身をみていこう。

オバマ政権の「チェンジ」がもたらしたものは何か。以下がトランプ政権の認識である(トランプの演説や公約サイトから抜粋、要約)。

「現在、アメリカの就業率は1970年代来最低で、9500万人のアメリカ人が労働人口から締め出されている。しかも、その雇用回復は1940年来、最悪の状況だ。生活保護受給者数はオバマ政権の8年に倍増、4000万人を突破した。平行して、貧困層の人口は同8年で800万人急増している。当然、家を買えない層が増え、マイホーム所有率は過去51年間で最低だ。そうした最低最悪の状況に加えて、採算の合わない自然エネルギー投資や不効率な保険制度「オバマケア」による官僚組織の肥大化により、国の債務はオバマ政権で20兆ドル近くまで積みあがった。過去の全政権の累積債務の倍である。しかも、オバマ政権は経済成長率が一度も3%を超えていない唯一の政権だ。これでは債務を増え続け、将来世代への負の遺産だけが膨れ上がっていく。オバマも雇用増を公約していたが、公務員数が50万人増えただけだ」

以上が先述の「オバマはこの国の歴史でおそらく最悪の大統領」と評するトランプの根拠でもある。トランプはそんな「最悪の」オバマ政権をトランプは見下す。主要閣僚を占めてきたのは、弁護士出身者や職業政治家など文官の公職経験者ばかりだからだ。つまり、リアルではない「口先だけで、行動がともなわない輩」をトランプは認めない。