トランプ大統領誕生後の「アメリカ対日農業交渉シミュレーション」


ここから大統領選投票日を前に、超先走って、トランプ大統領誕生後の、アメリカの対日農業交渉をシミュレーションしておこう!

トランプ説得術の専門家として分析すれば、トランプには「TPP再交渉」と「日米FTA交渉開始」の2つのカードがある。その2つの交渉から得られるより有利な条件を承認するのが、トランプの取引戦術である

候補者がTPP反対とか脱退といってるから、TPPは漂流する!とか、日本はどうする?日本もTPP反対せよ?とか寝言いっている専門家やメディアにはトランプに対抗できる学識がないから分析不可能だ。

トランプの説得術のポイントは、「自分が有利な取引と交渉の自由度を最大限、確保する」である。

前回「アメリカの農家からみた大統領選挙の真実」示した、トランプの農業アドバイザー・リストを吟味すると、とくに牛肉・小麦業界の重鎮が多い(大豆、トウモロコシ系もいるが関税ゼロだからあまり関係ない)。

牛肉については、FTA交渉になれば、TPP合意よりもっと早いペースでの関税引き下げを求めてくるのは必至。本人も演説(農業州、とくに肉牛生産の多い州)で、日本の牛肉関税について直接言及している。しかもトランプは、「トランプ・ステーキ」の事業展開をしていたらから、牛肉にはビジネス的に素人ではない。

小麦については、トランプが日本の国家貿易を切り崩しにくるかは、米国の小麦業界の判断次第だ。現状は米国産小麦に対して、農水省幹部が毎年アメリカ詣をして、他国より有利な条件を米国に提示する密室の談合状態である。「そのままのほうが得な取引と思うか?」それとも、「他国と競合するが、マークアップ制度を廃止させ、管理貿易からイクオール・フッティングの自由貿易(少なくとも関税化)を求めてくるか?」。

農水省の権益としては財務省に入る関税化を避け、農水の特別会計に入るマークアップを死守したいから、アメリカに対してのみマークアップ暫時引き下げ交渉カードをきりつつ、談合を維持する方向へ。いずれにせよ、今よりアメリカの貿易条件だけが改善するいびつな状態がつづく。

一方、日本の国会がやっているには、「TPP再交渉」を封じるアリバイづくりとして、早期批准。それでも、トランプには「日米FTA交渉開始」のもう一つのカードが切れる。ちなみに、WTOのルール上、より自由化が進めば、TPP(一定地域のFAT)でも2カ国間FTAでもどちらでもOK(経済の地域ブロック化を禁じているだけ)。

これと似たカードは、オーストラリアが切っていた。TPP交渉と同時に、日豪EPA交渉が進んでいたのを覚えているだろう。日本の交渉団これを逆利用して、豪州牛肉アメリカより有利な条件を出していた。これは、TPP交渉でアメリカ牛肉業界に無理難題をいうなら、豪州EPAを早期発効させるぞ(小麦と反対に米国の牛肉貿易条件が悪化)という脅し交渉のつもりだったが失敗。

しかも、日本政府がまったく想定していないのが、「日米FTA」カード。トランプが勝てば、アメリカはたとえば牛肉交渉が再開する。

今たしかなことはひとつ。トランプに交渉術に勝つ方法は、この世の中でぼくの『トランプ 黒の説得術』にしか書いていない。

いまのうちに、 『トランプ 黒の説得術』をみんなで買って読もう(笑)!

以上、トランプ説得術を応用した私の本の宣伝でした。

地元山口の安部総理には、トランプの説得術に負けないよう、拙著献本しておきました。

勘のいい議員さんはすでに読んでいて、作戦を求められたから一部伝授済み。

これまでのTPP交渉でも、5年以上、いろんな交渉関係者に絶対勝てる交渉術伝授してきたのにみんな本番で実践してくれない。「勉強になりました」みたいな実戦に何の役にもたたない寝言で終わっては意味がない。


※本コラムは、2016年11月3日、拙著『ドナルド・トランプ 黒の説得術』を案内したFBをシェアくださった尾藤 光一さんに対する御礼文の後半を転載したものです(中略)。

尾藤さん、シェアありがとうございます! 大統領選、有権者のアメリカ人が農家だけならトランプ圧勝です。「尾藤さんとお友達のためのアメリカ大統領選農家目線からの特別おまけ解説!」