トランプの愛読書はソクラテス


トランプの愛読書はソクラテス

「私は哲学者の本を読む。とくにソクラテスだ」(トランプ著『How to get rich』)

ソクラテスはいうまでもなく、「無知の知」で知られるギリシャの哲人だ。

トランプはソクラテスが好きな理由をこう述べている。

「ソクラテスは、人間は自己の良心の信じるところに従うべきだと、主張した。平たくいえば、自分の考えを持てという意味で、私が賛同する哲学である」

率直な物言いから「暴言王」と批判されるトランプだが、ソクラテスの教えを地でいっているのだ。「それでは人気者になれないかもしれないが、付和雷同を避けるよい方法である」と、自己認識もしっかりしている。

そんな自分の信念にもとづき、閣僚メンバーに対して、こう告げた。

「自分らしくあれ! 言いたいことを言えばいい。俺のことを気にするな」(1月13日、トランプタワーロビーでの立会見。議会での閣僚承認公聴会で大統領の公約と異なる意見を述べる大臣候補が続出したことについて感想を求められて)。

そして、トランプはいう。「私が正しいかもしれないし、彼らが正しいかもしれない」。まさに「無知の知」の教えに沿っているようにも聞こえるが、そんなに現実は甘くはない。

トランプの「予測不能」な発言一つとっても、世界中がその理解に途方に暮れているというのに、さらに各閣僚がトランプと違うてんでバラバラなことを言いだしたら一体どうなるのか。

まさにその「意外性こそは戦いに勝利する鍵」(トランプ)なのだ。

「私は自分がしていること、考えていることを人々に把握されることを好まない。予測不能な人間でいたいのだ。すると彼らは不安に陥る」(同)

トランプの目論見どおり、世界は不安に陥っている。確信犯による予測不能な時代の幕開けである。

そんな時代をどう生き抜けばいいのか。その答えもトランプが教えてくれる。「説得術を勉強し、練習しよう。人生のあらゆる面で役立つのがわかるだろう」(同)。

逆にいえば、トランプが得意とする「不安に陥れる」説得術が理解できれば、不安は解消することができる。そうすれば、「世界の見方さえ変わるかもしれない」(浅川芳裕『ドナルド・トランプ 黒の説得術』)。

Trump: How to Get Rich
Donald J. Trump
Ballantine Books