「勝ち組」集結!トランプ政権完全解読 ⑧反ビジネスの規制と〝戦う政治家・法律家‴を担当官庁のトップに


⑧反ビジネスの規制と〝戦う政治家・法律家‴を担当官庁のトップに

トランプ新政権において民間登用が注目されがちだが、政治家など公職経験者組からも「勝ち組」の交渉人たちを多数、採用している。

環境保護省廃止論者が環境保護省長官

環境保護庁(EPA)長官には、オクラホマ州司法長官のスコット・プルイット(48)が指名された。プリイットは環境規制を所管するEPA批判の急先鋒である。

EPAについて、トランプは「歪んだ、いきすぎた環境規制が企業や農業のビジネスを阻害している」と語っていたが、その阻害要因をなくすために戦ってきた張本人をトップに任命したのだ。

地方・農村部でのトランプ圧倒的支持の背景には、「反EPA規制」公約があった。過剰な環境規制のせいで、長年耕してきた農地を追われ、法外な罰金を科せられるなど、苦しめられてきた多くの農家の存在がある。また、地球温暖化対策などエネルギー規制の分野もプルイットが管轄する。過激な環境活動家からは「温暖化対策の敵」と糾弾されているが、本人は保守派の法律家らしく「人間の活動が気候変動に与える程度とその対策案のコストと便益の関係について、多様な観点を代弁していく」といたって冷静だ。

エネルギー省廃止論者がエネルギー省長官

エネルギー省長官にはリック・ペリー(66)前テキスト州知事が就く。エネルギー自給100%目指すトランプ政権にとって、大資源州テキサスをはじめとする関連業界の規制に精通したペリーの存在は大きい。加えて、同氏はかねてからエネルギー省廃止を主張しており、その規制改革について熟知し、先導してきた人物である。「反エネルギーの規制が何十万ものいい仕事を殺してきた」が持論のトランプの頼れる相手だ。

教育省無用論者が教育省長官

教育分野でも同じだ。教育制度改革に取り組んできた「子供のためのアメリカ連合」議長のベッツィー・デボス(59)を教育長官に指名した。

トランプは「アメリカは子供一人当たりの公的教育費が世界でもトップなのに、その教育は世界ランキングが25位という。恥ずべきことだ!」と選挙中から訴えてきた。その失敗の原因として、教育制度自体が「進歩主義者にとって子供たちへの洗脳行為の場になっている」ことをあげる。たとえば、連邦政府主導の「コモンコア」(学習到達度の全国統一基準)、「NCLB」(落ちこぼれを作らない法)などだ。改革者デボスの元で、それらを廃止し、スクールチョイス(学校選択制)などを推進し、教育の自治を地域や家庭に取り戻していく。

国連改革に挑むヘイリー国連大使

規制や制度が疲弊しているのは国際機関でもいえることだ。国際連合がその象徴だ。各国からの拠出金に依存しているが、その使途や会計が不透明なばかりか、イデオロギー色の高い利益団体の巣窟になっている。

そんな国連をトランプは、「いい時を過ごしたい人にとってのただの社交場になっている」と呼んできた。「私が大統領になれば、その様子は一転する」というトランプが国連大使として送りこむのが、サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー(45)である。行政機構における「透明化と説明責任」改革の第一人者である。彼女のこれまでの実績を国連改革に持ち込もうとしているのだ。

アメリカ「赤字解消」のキーマン マルバニーOMB局長

もちろん、国内の行政でも同じ問題を抱える。「米国が赤字漬けになったのは、政府が責任ある形で財政を運営する方法を知らないからだ」、とトランプはいう。そこで、行政管理予算局(OMB)局長には、ミック・マルバニー下院議員(49、サウスカロライナ州選出)を指名。民間企業の経営経験と法律家としての経歴にくわえ、議員としては財政均衡に取り組んできた実績をかわれた。トランプが議会に提出する予算教書のまとめ役となる。指名を受けたマルバニーは、「政府の予算と財政を再び健全な状態に戻す」と意欲を示す。

オバマケア撤廃が使命のプライス厚生長官

トランプの選挙公約「医療保険改革法(オバマケア)の撤廃」を担うのが厚生長官に指名されたトム・プライス下院議員(62、ジョージア州選出)である。トランプ当選の一要因として、オバマケア導入で保険料の高騰に苦しむ中間層がその撤廃公約に賛同した面は大きい。

その重責につくプライスは、長年、整形外科医としてクリニックを経営してきた経歴を持つ。政治家に転じたのちは、政府のムダを指摘し、予算削減を追求してきた。公的医療については、トランプと同じく、民間保険の競争を促す政策の支持者である。

厚生省傘下で、既存の医療保険「メディケア(高齢者向け)・メディケイド(低所得者向け)サービスセンター」を管轄し、その改革をすすめるのが、シーマ・べルマ所長である。医療政策専門のコンサル会社のCEOで、その道のプロだ。マイク・ペンス次期副大統領(インディアナ州知事)のおひざ元で、メディケイド制度改革を設計した実績もある。

トランプは「アメリカ人にはもっとポテンシャルがある。規制をなくせば、それがもっと発揮される」と熱く語ってきた。

以上の人事から、トランプの規制撤廃・改革の本気度が伝わってくる。

「法の支配」を取り戻す セッションズ司法長官

司法長官にはジェフ・セッションズ上院議員(70、アラバマ州選出)が就く。セッションズは法曹界で連邦検察官や州司法長官を歴任しており、トランプは「世界クラスのリーガルマインド」と称賛する。移民法を執行する司法長官としての最大の任務は、トランプの公約「不法移民の本国送還」の法運用と議会対応だ。セッションズは「法の支配」の考えから、不法移民の滞在を容認している「移民の聖域都市」(サンクチュアリー・シティ)に批判的である。選挙期間中、トランプを最初に支持した上院議員として知られる。支持した理由として、トランプのビジョン「ワン・アメリカ(アメリカの統合)」に共感したからだとしている。

「諜報の戦士たち」を束ねるポンペオCIA長官

米中央情報局(CIA)長官に指名されたのは、マイク・ポンペオ下院議員(53、カンザス州選出)である。陸軍士官学校を首席で卒業後、陸軍では東西ドイツ統合前に「ベルリンの壁」監視業務にあたっていた。その後、ハーバード大法科大学院を卒業し、軍需産業で起業するなど多彩な経歴をもつ。議会では諜報委員会に所属し、「ベンガジ事件」(2012年、リビアのベンガジで発生した米国在外公館襲撃事件。大使を含む4人が殺害された)」に際しては、その上院特別調査委員として、ヒラリー・クリントンの責任を追及した実績がある。指名を受けて「諜報の戦士たちとともに働くことを楽しみにしている」と抱負を述べた。

「もっとも有能なアメリカ人のほとんどを私は知っている」と断言してきたトンランプが選んだのが、以上の政権メンバーだ。

そんなチームトランプを束ねるトランプ大統領の仕事とは?

「私は勝ち続けるアメリカのチアリーダーである」、そして「リーダーシップによって勝利することだ」と語る。この堂々巡りの勝利のポジティブ思考法こそ、トランプの真骨頂である。

最後に———「負け組」メディアにだまされるな

今回の連載でトランプ政権がどれほど「勝ち組」揃いかおわかりいただけただろうか。日本の立場からいえば、とても〝厄介″な政権ともいえるだろう。しかし、ここはトランプ流のポジティブ思考に切り替えるときがきた。われわれニッポン人も「勝つことを楽しむ」マインドセット(心構え)を持ち、勝利の方程式をみずから創り出さなければならない。

これほど透明性が高い政権にもかかわらず、むやみにトランプ政権を批判し続ける日本のマスコミは「負け組」となる。トランプの発言や国民の声を取材せず、「情報の二次ソース(米メディア)」の受け売りをしているだけだ。

アメリカ国民で「メディアに多大な信用をしている比率はわずか7%である。一方、60%の過半数がほとんどかまったく信頼していない」(ギャロップ調査、2015年9月)。アメリカ人が信頼していていないアメリカ情報を日本人に垂れ流して稼ぐ、マスコミ商法にだまされてはならない。