「勝ち組」集結!トランプ政権完全解読 ⑥ゴールドマン・サックス出身者起用の遠慮深謀


⑥ゴールドマン・サックス出身者起用の遠慮深謀

トランプ政権で目立つには主席戦略官のスティーブ・バノンをはじめ、公職についたことのない民間出身者である。とくに米投資会社大手ゴールドマン・サックス色が強いのが特徴だ。

同社の現社長兼最高執行責任者(COO)のゲーリー・コーン(56)は米国家経済会議(NEC)委員長に、同社元幹部のスティーブン・ムニューチン(54)が財務長官に指名された。ムニューチンは自身の投資会社経営のほか、「アバター」「X-MEN」などの映画製作への投資家としても名を馳せる。

「クリントンは金融業界の操り人形」と大統領選で批判しておきながら、自ら同業界人を重職に登用した(トランプは金融業界から受け取った献金はわずか。その額はクリントンの0・4%に過ぎず、操り人形になるわけでない)。

その意図は何か。答えは、勝ち組の資質「もっとも賢い」「偉大な交渉人」である点を重視してのことだ。

トランプは言う。「そうした中にはひどい人間もいる。とくにウォールストリート(金融業界)の交渉人たちは、冷酷なヤツらやみじめなヤツらもいて、一緒に夕食をとる気にならないが、そんなことを俺は気にしない」「世界最高の人材が得られる」からだ。

そんな世界最高の彼らに何を「交渉」させるのか。

すでに紹介したトランプが知恵袋であるナバロ国家通商会議議長(67)やロス商務長官(79)、バノン首席戦略官らと選挙中から組み立ててきた経済・財政・金融・エネルギー政策について、実務プランを立てさせる。そして、民間企業への交渉・説得に当たらせるのだ。こうした手法がもっとも得意なのがゴールドマン・サックス出身者だとして、首席戦略官バノンはこう語る。

「(自分たちでマスタープランは立てるが)矢面に立たず、新規事業は別の会社にやらせ、二番手でマーケットをとっていく」。政治用語に言い換えれば、民主導で合意形成を促す形を演出しながら、政府は背後で手綱を引いて結果を出していく交渉手法だ。

政権最長老のアイカーン特別「規制改革」顧問

グローバル化した企業競争の世界において、先進国の製造業雇用は失われていく。そこで、改革を通じて大企業の国内回帰を促す。税収を増やしながら、インフラ投資に投下する。そうして何とか、職が安定しない中間層や労働者を食わしていくのがビジネスマインドの為政者トランプの政策である。しかし、その公約を実現するには、そうした政策の全体パッケージを企業経営者の視点からみて、魅力的に仕立てあげなければならない。その道のプロがゴールドマン・サックス出身者なのだ。

同じ交渉でも分野によっては、違うタイプの交渉人を採用するのがトランプだ。公約の目玉の一つ規制改革では、総資産178億ドルの投資家のカール・アイカーン(80)を特別顧問に任命した。アイカーンはアクティビスト、いわゆる「物言う株主」の第一人者である。既得権益者の多い規制分野では、剛腕で発言力の強いアイカーンのような人物が改革を推し進めるのに適任なのだ。しかも、全閣僚・高官のなかで最高齢の80歳と重鎮であり、政府や業界関係者に対して、発言の自由度も重みもある。トランプは2015年の選挙キャンペーン中から「俺はアイカーンを交渉人にする」と公言していたぐらいだ。

トランプの右腕 グリーンブラット国際交渉代表

交渉といえば、「国際交渉特別代表」に指名されたジェイソン・グリーンブラット(50)も忘れてはならない。トランプの事業統括会社トランプ・オーガナイゼーションの最高法務責任者を長年、務めてきた右腕だ。「私は彼にあらゆる種類の国際的な交渉事、世界中の貿易協定に関して、アシスト役を果たすよう頼んだ」と発表。さまざまな国々との外交から通商協定まで、トランプは再交渉を公約にする中、自身の交渉術を熟知した側近中の側近に大統領直轄の秘書役として起用したのだ。