「勝ち組」集結!トランプ政権完全解読 ⑤側近人事の要は独立系戦略家スティーブ・バノン


⑤側近人事の要は独立系戦略家スティーブ・バノン

〝中国に勝つ″〝貿易で勝つ″政策の指南者が連載3回目で登場したナバロやロスだとすれば、〝アメリカ国内の敵に勝つ″戦略の指南者がスティーブ・バノン(63)である。新設の首席戦略官に就任した。

国内の敵とは野党民主党や反トランプ・メディアのことだ。いくら軍事や通商、外交で勝ち組メンバーを揃えても、国内で足元をすくわれるようでは、〝戦うごとに危うし″となる。

そこで登場するのがバノンだ。元ゴールドマン・サックス社員で、のち政治闘争に転じた、独立系戦略家である。トランプの参謀になる前は、草の根保守「ティー・パーティ」運動の勝手連としても活躍した

バノンの理想は、「アメリカの中間層のための政治を取り戻す」政府の復興、樹立だ。その背後にある問題認識について、バノンの一連の演説からエッセンスを抽出する。

———アメリカは現在、リベラル政治既得権層は「グローバリスト」金融業界と共謀し、上流階級化した。その政治力の源泉は下流階級、エスニック階層を生活保護などの各種補助・特権で支配しながら、民主党支持者にしてきたことにある。その原資を多数派である一般アメリカ人の中間層から搾取してきた、と位置づける。加えて、その階級構造を固定・強化してきたのが「民主党支持のリベラル系主要メディア(CNN、ABC、MSNBC、CBS、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストなど)」の偏向報道だとする。

実際、主要メディアは選挙期間中、露骨なクリントン支持を表明し、一貫して彼女の当選優位性を報道しつづけてきた。

そんな不利な状況で、選対の最高責任者に抜擢されたのがバノンだ。では、彼はどうやって巨大メディアに打ち勝ったのか。民主党やクリントンに「負けていた」情報空間で反撃し、勝利に導く手法を編み出したのだ。具体的には、自身が経営していた世界最大級のニュースサイト「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」を通じて、〝クリントンを嫌いにさせる″情報を拡散させただけでなく、理事を務めるシンクタンク「GIA」調査結果を活用し、″親クリントン″のマスコミにさえ〝反クリントン″報道をさせざるをえない状況に追い込んでいった。たとえば、クリントン財団の腐敗を追及したノンフィクション『クリントン・キャッシュ』発行にもバノンの情報戦術が深くかかわっている。

そうした手腕をかわれ、首席戦略官に就いたバノンの愛読書は孫子の『兵法』である。

トランプツイッター担当の元キャディー

「ツイッター文学における世界最高の作家」と自称するトランプはSNS担当の責任者も新設した。広報担当チーム・ソーシャルメディア部長に指名されたダン・スカビノだ。ひとつひとつの発言に世界が注視するトランプのツイッター等を担当する重責を負う。

二人は、スカビノが高校時代にゴルフコンペでトランプのキャディーを務め、気に入られて以来の関係だ。大学時代はコミュニケーション論を専攻し、コカ・コーラ勤務などを経て、トランプが経営するゴルフ場の総支配人となった。選挙期間中はソーシャルメディア担当として、18カ月間の遊説に同行し、選挙戦を左右したとも言われるトランプのツイッターやフェイスブックを更新、管理、運用した実績がある。

元モデルの“美人側近”ヒックス広報担当官

広報担当チームはスカノビのほか、ホワイトハウス報道官ショーン・スパイサー(45)戦略コミュニケーション責任者にホープ・ヒックス(28)、が起用されている。いずれも「選挙期間から政権移行まで私のチームの主力メンバー」(トランプ)で、次期大統領が重視する広報チームは側近で固めた。ヒックスは元モデルの“美女側近”として知られる。トランプの娘イヴァンカ(35)のファッションブランドの仕事をしていた際、突然、「共和党予備選挙の広報担当秘書」に抜擢された異色の経歴をもつ。

その他、女性で側近の中からは、選対部長を務めたケリーアン・コンウェー(50)大統領上級顧問に指名した。女性専門の世論調査会社「ウーマン・トレンド」の創業者兼会長としての経歴をもつ。選挙期間中、テレビ番組に頻繁に出演し、トランプの政策を擁護した。先述のバノンが裏の立役者とすれば、コンウェーはトランプを勝利に導いた表の立役者である。専門を生かし、トランプの女性票獲得の戦略を練ったのも彼女だ。

トランプ「超ポジティブ」政権はこうした多彩な才能の持ち主たちによって作られていく。